移動式八百屋に洗脳されそうになった話
こんにちは、ワシです。
昔々にぼくが、移動式八百屋に洗脳されそうになったときの体験談です。
移動式八百屋とは
たまにネットなどで話題になる八百屋のような若者たちのこと。
特徴としては
- 都内の駅前などに出没
- すっごい笑顔
- ダンボールに果物などをつめて歩いて販売
- 「八百屋です」と声をかけてくる
- 夜遅くまで売ってることもある
都内で仕事をされている方なら、もしかしたら見たことがあるかもしれません。
求人欄には野菜やフルーツの営業と載っている
それが移動式八百屋とは知らずにまんまと応募したぼくでした。ぼくはてっきり、野菜などの卸しの営業みたいなものかなーと思っていたのです。
都内の八百屋などを周って、営業をするならちょっと楽しそうとか思ってました。フガフガ。
異様な面接会場
すぐさま面接に来てくれと言われて、週末に都内の面接会場まで行きました。そこでいきなりの怪しさがぼくを迎え撃つ。
「あれ?このビルであってるけど、会社の事務所があるはずの階だけ社名の看板が無いな。。。」
「間違いなくあの階だけど、窓全開でエグザイルっぽい音楽が結構な音量で聞こえてくる。。。」
あ、怪しい!!怪しすぎるよ!!!
怪しさを感じつつ少しの間観察をしていると、そのビルに1人2人とドンドンと人が吸い込まれていく。
やっぱり帰ろうかと悩んでましたが、人が吸い込まれていく流れを見ていたら「せっかくここまで来たし、面接だけでも」とぼくもビルに入っていきました。
ビルの中
目的の階に着くと、すでに2、30人の列が出来てる!
こりゃあとんでもない優良求人を見つけたか!?
と舞い上がったのを覚えてます。
面接まで並んでる最中も音楽は鳴り響き、並んでいる通路の壁に写真やらなんやらがいっぱい貼ってあった。
- いかにも仲良いですよ!な大勢が肩組んだ笑顔の写真
- 研修では外国にも行きます!な外国人と肩を組んだ笑顔の写真
- 独立して稼ぎまくってるぜ!な元従業員ぽい人の笑顔の写真
そんな写真が至る所に貼ってある。今思えば胡散臭い感じが凄いんですが、当時は「まじかよすげー」みたいになってましたね、ぼくも他の人も。
うまい面接
面接ではありきたりなことを聞かれました。
出身地を答えたら面接官が「えっ?私もそこの出身なんです!」みたいなこと言ってて、ぼくもマジっすか!とか言ってたけど、恐らくどの出身地でも同じこと言ってるんだと思う。
そこで2つの選択肢があって、
- 給料は安定して貰えるが、それ以上増えることはほぼ無い、ルート営業
- 給料は完全出来高制だが、頑張れば月50万円以上も夢ではない、飛び込み営業(その日の売り上げから何割か会社に取られる)
確かこんな感じだったような。
このどちらかを選んでくださいとのことで、ぼくはもちろん飛び込みでお願いします!と言い残し、面接会場を後にしました。
今にして思えば、給料出さなくても頑張って働いてくれる都合のいい奴を採用して、安定したルート営業を選んだ奴を不採用にしてたんだと思う。
出来高制の方なら、会社は全く給料出さずに個人の売り上げから何割かをいただくだけだからね。
採用されてしまった2人
そんなこんなでおめでたく採用されてしまったので勤務初日を迎えました。持ち物は特に無し!ほぼ手ぶらで出勤できます。
事務所に着くとぼくともう1人がいました。ほんとは三人採用されたようですが、当日になってこなかったみたいです。感のいいやつがいるもんだ。
使い古されたポロシャツを渡されてそれに着替えました。
スゲェ朝礼
人数がそろったところで朝礼です。
おもむろに1人の男性が、めちゃくちゃでかい声で今日の目標を言い出す。いや、叫びだす。
続いて隣の男性が言う、さらに隣も続く。
そしてぼくの番、自己紹介お願いします!と言われ、ハイ!といい返事を返し、叫ぶような自己紹介をしました。
なぜかこの時、テンション上がりまくりですごかったな。なんだったんだろ。笑
一通り言い終わったら、肩組んで円陣を組む。
イエエエー!とかヨッシャー!!とかヤルゾオオー!みたいな掛け声して朝礼終了。
この時点でぼくはやる気まんまんでした。疑う気持ちは微塵も無くなっていた。笑
突撃スタイル営業?
初日は先輩の女性と一緒に行動しました。何本か電車を乗り継いで現場に移動。
とりあえず見て覚えてくださいとのことで、ぼくは遠目から様子をうかがうことにしました。
そのときの様子。
- 目に入った人にガンガン声かけ
- 会社や個人宅にもガンガン突撃訪問
- 見込み無しと判断した瞬間にもう次を探す
- 接客中は凄い笑顔だけど話し終えると超真顔
今考えると異常だと思うけど、何回も言いますがその時はぼくもトランス状態だったので、
「よおうし!!やってやるぜ!!」
みたいになってしまっていました。
ぼくも先輩の真似をして売り歩くのですが、声かけられた人はほぼ全員「は?」って顔してましたね。
そんな感じなんでなかなか売れませんでした。結局その日は夜の7時くらいまでねばって事務所に帰還。
事務所で売り上げ報告みたいなのをしてその日は終了でした。
初日の疑惑
テンションは上がってましたが、所々「ん?」と思うところがいくつか感じてました。
- 面接でこの会社は凄い儲かってる風なことを言っていたが、ユニフォームがボロボロの古着
- 寮完備らしいのですが、3人相部屋ワンルーム。儲かってるのに?
- 仕事中の交通費が自腹
- 先輩が「疲れたー。」のような言葉が一切無くクソポジティブ
- 笑顔が怖い
こんな感じで、疲れとともに帰りの電車ではこの会社なんだかおかしいかな?と少しだけ思っていました。
2日目の疑惑
この日も昨日と同じ朝礼。場所は別の所でした。交通費は自腹です。
そしてまた昨日のように声をかけまくる。気持ちもだいぶ落ち着いてきてたので、じっくりと先輩を観察していると、クソ忙しそうに走ってる佐川急便のお兄さんを呼び止めての声かけ!!
いやいやいや、そこ声かけたらだめでしょ!お兄さん思いっきり仕事中じゃん!!
もちろん断られて走り去っていく佐川急便。そして爽やかな笑顔でぼくにむかって
「今のは残念でしたねwああいう方がたまに買ってくれたりするんですが、でも諦めずに次行きましょう!!」
ここでぼくは、「あ、この会社おかしいんだな」と思いました。
そして休憩中にスマホでこの会社名を検索すると、よからぬ噂がいっぱい!
腹痛いので帰ります
やばいと思ったぼくは、腹痛と嘘をかまして先輩を振り切って会社を後にしました。
途中何度も後ろを振り返りながら、つけられてないか怯えながら帰ったのを覚えています。怖かったなー。
東京って怖いなと思った話でした。